東日本大震災100の教訓 復興検証編
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ジャンル 社会・福祉
判型 A5判・196ページ
発行 2023年11月
定価 2,200円(税込)
ISBN978-4-86342-357-2 C0036
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復旧・復興の過程検証は、必須で喫緊の課題
巨大台風や豪雨などによる自然災害が多発。これらの復興事業に適切に取り組むためにも、東日本大震災の復旧・復興の過程を検証することは、必須で喫緊の課題である。
依然として復興から取り残された被災者の苦しみをよそに、巨費を費やした大震災復旧・復興事業、まともな検証を行わない国や行政に問う“市民版復興検証白書”。
CONTENTS
【総論】俯瞰的・総括的検証
① 大震災の復興検証をめぐって
② 地域・コミュニティ主体の復興だったのか
③ 復興構想会議─創造的復興の青写真提言
④ 震災からの復興と日本再生の二つの旗印
⑤ 東日本大震災と復興行財政の到達点─教訓と課題
⑥ 復興特区法と復興交付金事業の批判的検証
⑦ 蔑ろにされた住まいの復興 ─「居住確保支援」の落とし穴
⑧ グループ補助金は「画期的制度」と評価していいか
⑨ 被災者支援総合交付金が導いた被災者支援の新たな可能性
⑩ 被災者支援から地域福祉への転換─地域福祉の枠組みで進めた被災地12年後の姿
⑪ 災害ケースマネジメント─個別事情に対応する伴走型対人支援システム 50
⑫ 大震災の復興からの教訓─事前減災と多元防御
【各論】復興現場からの検証と教訓
1 復興理念・ビジョン
1−① 二人の知事、それぞれの復興理念─「人間本位の復興」と「創造的復興」
1−②「人」より「まち」が優先─面的整備優先で住まい・くらしは後回し
1−③ 宮城県の創造的復興の根源は過大な建築制限から
1−④ 津波リスク評価と浸水シミュレーション「信仰」
1−⑤ 国交省「市街地パターン調査」による復興の類型化の問題
1−⑥ 自治体レベルの復興計画─計画終了と事後評価
1−⑦ 日本国憲法と震災復興
2 復興まちづくり・基盤整備
2−① ハード優先の復興交付金事業
2−② 復興特区法と三つの計画
2−③ 主要3事業偏重の復興まちづくりガイダンス
2−④ 巨費を投じた半島部小規模高台移転 防災集団移転促進事業とその帰結
2−⑤ 大船渡差し込み式防災集団移転が開いた可能性
2−⑥ 南三陸町にみる津波浸水エリア復興の困難性─さんさん商店街は有名になったけど
2−⑦ 住民意向に立脚した集団移転─気仙沼市只越地区
2−⑧ 石巻市のまちなか再生の現状と課題
2−⑨ 過大な被害額推計がもたらしたもの
2−⑩ 大船渡駅周辺地区における復興まちづくり事業とソフト戦略の連携
2−⑪ 中心市街地の早期再建を果たした釜石市の復興まちづくり
2−⑫ 陸前高田市─強いられたゼロからの再出発
3 住まい、暮らし、コミュニティ再建支援
3−① 被災者生活再建支援制度の抜本的拡充を
3−② 支援格差を生む罹災判定
3−③ 茂庭台マンション被害判定変更裁判
3−④ 加算支援金申請受付打ち切りと都道府県センターの理不尽な対応
3−⑤ 個人版私的整理ガイドラインの成果と課題
3−⑥ 広がる「多重被災」とどう向き合うか
3−⑦ 災害時の「住まい確保」等に関する行政評価・監視とその意義
3−⑧ 災害ケースマネジメント構想会議と制度化提案
3−⑨ 人権と多様性に配慮した避難所運営を進めるために
3−⑩ みなし仮設をどのように評価するか
3−⑪ 災害公営住宅収入超過者問題
3−⑫ 陸前高田市が導入した「みなし特定公共賃貸住宅」
3−⑬ 宮城県亘理町の戸建災害公営住宅譲渡(払下げ)補助制度
3−⑭ 災害公営住宅のコミュニティ維持の課題─あすと長町第二復興公営住宅の現状から
3−⑮ 災害公営住宅におけるコミュニティの意味とその再生の取り組み
3−⑯ 災害公営住宅の見守り体制構築─仙台市・鶴ヶ谷六丁目中央町内会の経験
3−⑰ 災害公営住宅健康調査から見た宮城県による健康調査打ち切りの問題
3−⑱ 震災後10年間医療費窓口負担免除を貫いた岩手県の経験
3−⑲ 市街化調整区域における現地再建若林区井土地区の場合
3−⑳ 宮城県の対応から垣間見る放射能汚染廃棄物処分枠組みの問題点
3−㉑ 復興にかかわる市民セクターの現在
4 なりわい、地域経済の回復
4−① 震災10年を経た被災地経済の─宮城県を例に
4−② 水産業はどこまで再建できたか─宮城県の場合
4−③ 持続可能なカキ養殖へ 戸倉の漁師たちの挑戦
4−④ 瞬間芸で終わった水産業復興特区
4−⑤ 仙台東部・農業復興への取り組みと新たな課題─農村から農業地帯への変貌
4−⑥ グループ補助金交付先アンケートにみる補助金の効果
4−⑦ グループ補助金の運用改善に向けて─宮城県内交付企業アンケートから
4−⑧ 被災企業向け二重ローン対策は効果を発揮できたか
4−⑨ 住民主体の移転元地利活用事業―雄勝花物語による人間復興
4−⑩ 商品開発から販売まで一貫した支援―協同を大切にする「古今東北」ブランド
5 復興財源措置・被災自治体財政
5−① 宮城県財政―復興のさなかの「不名誉」な好転
5−② 公共施設の原形復旧から民業支援、復興支援へ
5−③ 取崩型復興基金とその意義
5−④ 復興財政から大震災復興を評価すると
6 復興検証・モニタリング・災害伝承
6−① 宮城県「復興まちづくりの検証」は検証の名に値するか
6−② 国交省「津波被害からの市街地復興事業検証」の問題点
6−③ 復興感をどのように測るか ─いわて復興ウォッチャー調査の意義
6−④ 震災10年で取り組んだ復興検証報道
6−⑤ 震災遺構大川小学校 どう遺し、何を伝えていくか
7 危機管理の破綻・創造的復興批判
7−① 検証=東日本大震災と女川原発
7−② 迷走する宮城県の広域防災拠点事業
7−③ 不透明さ増す仙台空港民営化の未来
7−④ 水道民営化というショックドクトリン
7−⑤ 再生可能エネルギーと地域主権
7−⑥ 新浸水想定と現場の混乱
あとがき
執筆者一覧
編著者紹介
PROFILE
千葉昭彦(ちばあきひこ)
1959年岩手県一関市生まれ。東北学院大学大学院経済学研究科博士課程後期課程満期退学。博士(学術)。現在、東北学院大学経済学部教授、みやぎ震災復興研究センター代表、専門は地域経済論。主な著書は『都市空間と商業集積の形成と変容』(原書房)。
塩崎賢明(しおざきよしみつ)
1947年神奈川県川崎市生まれ。京都大学大学院工学研究科修了(建築学専攻)、工学博士。神戸大学名誉教授。現在、兵庫県震災復興研究センター代表理事、専門は都市計画・住宅政策。主な著書に『復興〈災害〉─阪神・淡路大震災と東日本大震災』(岩波新書)。
長谷川公一(はせがわこういち)
1954 年山形県上山市生まれ。東京大学大学院社会学研究科単位取得退学(社会学専攻)、社会学博士。現在、尚絅学院大学特任教授、東北大学名誉教授、公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク理事長、専門は環境社会学・市民社会論。主な著書に『岐路に立つ震災復興』(共編著、東京大学出版会)、『原発避難と震災』(共編著、有斐閣)。
遠州尋美(えんしゅうひろみ)
1949 年宮城県仙台市生まれ。東北大学大学院工学研究科修了(建築学専攻)、工学博士。元大阪経済大学教授。現在、みやぎ震災復興研究センター事務局長、専門は地域政策・地域開発。主な著書に『グローバル時代をどう生きるか』(法律文化社)、『低炭素社会への道程』(共編著、法律文化社)。
みやぎ震災復興研究センター
東日本大震災の復興の検証を、被災者の視点に立って進めるとともに、得られた研究成果を被災者の救済と被災地の復興に役立てることを目的として、2018年12 月に発足。本書は、『東日本大震災100の教訓 地震・津波編』(クリエイツかもがわ、2019年2月)に続く、本センター2冊目の成果物である。代表は千葉昭彦東北学院大学教授、事務局長を遠州尋美元大阪経済大学教授が務める。「みやぎ」の名を冠しているが、地域を限定せずに研究者、専門家、復旧・復興支援に取り組む人々の幅広い参加を求めている。
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